タイ進出のリスクは?

1. 洪水問題

記憶に新しいところでは、2011年にチャオプラヤ川から、タイ中部を中心に洪水が発生し、全国に被害が広がりました。日系企業が多く入居するアユタヤ県を中心とした工業団地が冠水し、工場が操業停止となるなど大きな影響が出ました。タイでは、急激な雨の降り方や河川の勾配が緩いため、雨季の後半になると、河川からの排出がままならず、例年洪水の被害があります。しかしながら河川や運河の整備、堤防や水門の建設、工業団地周辺の壁の建設などタイ政府主導の治水プロジェクトのより、今後2011年のような大洪水は発生しないように様々な対策がとられています。

 

2. クーデターなど政情不安定

2001年タクシン政権が誕生すると、自己の出身地であるタイ北部に貧困層の救済、農村部の振興を約束し、バラマキとも言われる政策をとりました。これに反発したのが、既得権益者である都市住民、とりわけ中華系を中心とする既存エリート層です。2006年の軍事クーデターにより、タクシンは失脚しましたが、その後も赤シャツ(タクシン派)と黄シャツ(国王派)の対立は激化していきます。2008年8月黄シャツのバンコク空港占拠、2009年赤シャツのホテル占拠ASEAN閉幕などを経て、今回2014年5月22日のクーデターとなります。タイでは貧富格差の問題等により、何年かに一度は軍事クーデターが発生します。クーデターという手段では根本的な解決には至りませんが、クーデター中も、市民生活はいたって平穏で落ち着きを保っていました。

 

3. 戒厳令

タイにおいては,反政府勢力及び政府支持勢力の双方が、2013年来首都バンコク及び近郊を中心に抗議活動等を実施していました。こうした中、2014年5月20日、陸軍のプラユット陸軍司令官は、タイ全国に戒厳令を発出することを発表しました。戒厳令下では、治安維持のために様々な規制措置が執られる可能性があり、既に放送の規制及び政治デモ集会の制限が発表されています。2014年9月1日現在、未だ戒厳令は解除されていません。

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